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泉美木蘭
2024.5.12 19:45

『歌謡曲を通して日本を語る』楽しかった

録画で『歌謡曲を通して日本を語る』見たけど、
ものすごく楽しかった。

愛、恋、夫婦の関係、女、男、関わりのかたちについて、
文学性の高い大人の歌詞と、情感を彩るメロディ、
歌声、楽器の音などで表現する歌謡曲で聞かせるからこそ、
すぐに言葉に変換できない範囲まで、ずわ~っとしみ込むように
感じられるものがあって、味わい深かった。

「コンプラ違反」というテーマを、
延々と言葉だけで論じつづけていると、
理屈をこねくり回して空転したり、
頭の中に、死角がたくさん生まれてしまいやすいと思う。
その点、歌によって呼び覚まされるものは、
限りなく豊かな感性、豊かな世界観がある。
他人をヒステリックに糾弾しながら、
その感性、世界観を否定し、潰していくことが
いかに愚かで、つまらないことなのかを
改めて感じさせられた回だった。

浜田省吾の「丘の上の愛」ははじめて聞いた。
私は、この歌は、氷のような腕で女を抱く男の視点、
つまり、愛を買った丘の上の男の歌なんだと解釈した。
愛と引きかえに、富のある未来を手に入れた女と、
富と引きかえに、愛のない未来を手に入れた男が、
心の底では愛を求めていながらも、
自分をいつわり、愛を見失ったままの日々を送っている。
夜になると、ベッドの上に横たわる女は、
ため息をつき、ひっそりと涙を流しながら眠っている。
その女の様子を、男は、となりに横たわりながら、
氷のような目でじっと見つめて、
二人の関係を破壊する瞬間を夢想している……
そんなシルクのパジャマの男の姿が思い浮かんだ。

私いややわ、そんな生活。

 

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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